相続税申告(相続発生後)
相続税の計算の仕方
1 相続税の計算と相続財産の把握
相続税は、被相続人(亡くなられた方)の財産を相続した場合に課される税金です。
相続税の計算は、まず相続財産を正確に把握することから始まります。
相続財産とはプラスの財産とマイナスの財産からなります。
プラスの財産とは、具体的には土地・建物といった不動産、現金、預貯金、株式・投資信託・国債といった有価証券、自動車・貴金属・骨董品といった動産などが含まれます。
マイナスの財産とは、具体的には銀行や親戚からの借金、固定資産税・医療費・水道光熱費等の未払金、葬儀会社に支払う葬儀費用、お寺に払うお布施、火葬代などが含まれます。
みなし相続財産とは、具体的には死亡保険金や死亡退職金が含まれます。
例外的に、非課税となる財産もあります。
例えば、死亡保険金の一部(500万円 × 法定相続人数)は非課税枠が適用され、また、死亡退職金も死亡保険金の非課税枠とは別に非課税枠(500万円 × 法定相続人数)があります。
2 相続税の計算と課税対象額の計算
次に、相続税の課税対象となる純資産価額及び課税価格を計算します。
純資産価額= プラスの財産+みなし相続財産+相続時精算課税適用財産-(負債・葬儀費用といったマイナスの財産 + 非課税枠)
この純資産価額に過去3年から7年の暦年贈与財産正味財産額を加算して、課税価格を算出します。
そして、課税価格から基礎控除額を引いて課税遺産総額を計算します。
3 相続税の計算と基礎控除の計算
基礎控除とは、相続税が課税されない範囲の金額のことです。基礎控除額の金額は、 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数、という計算式で求められます:
例えば、法定相続人数が2人の場合であれば、基礎控除額は、3,000万円 + 600万円 × 2 という計算の結果、 4,200万円となります。
基礎控除額を超える部分が課税対象となります。
なお、この法定相続人の人数を数える際には、相続を放棄をした人がいたとしても、その放棄がなかったものとした人数をいいますし、養子がいる場合は一定の人数の制限があります。
4 法定相続分に応じた相続税総額の計算と分配に応じた相続税の計算
課税対象額を法定相続分に基づいて各相続人に按分したと仮定して、それぞれに課税額を計算します。
例えば、配偶者及び子ども法定相続分について、配偶者がいる場合には配偶者1/2、子供たち1/2を等分し、配偶者がいない場合には子供たちで等分して決めます。
課税対象額が各相続人に法定相続分に応じて分配されたら、取得金額に応じた税率を乗じて相続税額の総額を計算します。
具体的な計算方法としては、課税価格が1,000万円までは税率が10%で控除額はありません。
課税価格が1,000万円から3,000万円までは税率が15%で控除額は50万円です。
課税価格が3,000万円から5,000万円までは税率が20%で控除額は200万円です。
課税価格が5,000万円から1億円までは税率が30%で控除額は700万円です。
課税価格が1億円から2億円までは税率が40%で控除額は1,700万円です。
課税価格が2億円から3億円までは税率が45%で控除額は2,700万円です。
課税価格が3億円から6億円までは税率が50%で控除額は4,200万円です。
課税価格が6億円以上は税率が55%で控除額は7,200万円です。
例えば、課税価格が2,000万円の場合は、相続税は、2,000万円 × 15% - 50万円、という計算の結果、250万円が相続税額の総額となります。
この相続税額の総額を、財産を取得した割合に応じて、その財産を取得した相続人の相続税を決定します。
例えば、上記のように相続税の総額が250万円で、100%の相続財産を取得すれば250万円の相続税を納め必要が、50%の相続財産を取得する場合には125万円の相続税を納める必要があります。
5 実際に納税する税額の計算
最後には各相続人の課税額について、特例や控除を差し引いて最終的な納税額を計算します。
相続税の計算は複雑で、多くの要因を考慮する必要があります。
また、税制は頻繁に変更されるため、最新の情報を確認することが重要です。
相続税申告でかかる費用
1 相続税申告と費用の概要
相続税の申告には専門的な知識が必要なため、多くの人が税理士に依頼します。
税理士に依頼する際にかかる費用は、依頼する税理士事務所や具体的な相続財産や相続人の人数等によって異なりますが、いくつか費用に影響を与えるポイントを説明していきます。
2 相続税申告と基本料金
税理士に相続税申告を依頼する場合、通常基本料金がかかります。この基本料金は税理士事務所や遺産の総額によって異なることが多いです。
相続税の申告における税理士報酬は、一般的には遺産総額の0.5%~1%程度が目安となります。
3 税理士報酬と相続財産の種類と数
不動産の評価について、不動産が複数ある場合や評価が複雑な場合には、別途評価費用がかかることがあります。
不動産1件あたり5万円から10万円程度が一般的といえます。
また、非上場株式の評価は複雑になることが多く、非上場株式の評価が必要な場合には、その評価にかかる費用も発生します。
非上場会社が、さらに非上場株式を保有していたり、不動産を保有している場合には、費用が発生しますので、数十万円程度かかることもあります。
4 税理士報酬と相続人の数と複雑さ
相続人の人数が多い場合、その調整や書類作成の手間が増えるため、費用が増加する可能性があります。
また、相続税申告のために遺産分割協議書の作成が必要な場合、追加料金がかかることがあります。
被相続人や相続人の戸籍謄本など、申告に必要な書類を税理士に取得を依頼する場合には、取得費用もかかります。
さらに、税理士が現地調査に行く場合の交通費や、書類の郵送費などもかかります。
5 相続税申告と費用の見積もりと相談
相続税申告のための税理士報酬は依頼する税理士事務所によって異なるので、まずは税理士事務所に見積もりを依頼することをお勧めします。
また、初回の相談は無料で行っている事務所も多いので、事前に相談し、費用やサービス内容を確認することが重要です。
相続税申告について相談・依頼する税理士の選び方
1 相続税申告とは
相続税申告とは、一定の財産(3000万円+相続人の数×600万円)を上回る相続財産がある場合に申告・納税をする手続きで、相続が開始してから10か月以内に行う必要があります。
2 相続税申告における税理士の選び方
第一に、相続税申告経験が豊富な資産税に詳しい税理士であることです。
相続税評価において、例えば路線価地域の不動産であれば、路線価をベースにして財産の価値を評価します。
この時、画地修正という、土地の個性に従って減額加算要素を算定していく作業を行うことがあります。
画地修正では、間口狭小補正率、奥行補正率、奥行長大補正率、不整形地補正率、規模格差補正率、2以上の指定容積率にまたがる土地の減額計算、土砂災害特別警戒区域内の土地の減額計算、セットバックによる減額計算など、複雑な作業を行うため、専門的なノウハウが必要となります。
土地だけでなく、各種の財産評価において専門的な知見が求められるため、10人の税理士がいれば10人とも金額が違うと言われています。
相続税申告は、いわゆる確定申告や法人税の顧問税理士業務とはまったく異なります。
そのため、普段顧問をお願いしている税理士に相続税の申告を依頼したらトラブルになってしまったというケースはままあります。
次に、相続税のみならず、相続紛争についてもある程度の知識を持っている税理士であることです。
税理士は税の減免に関する特例等には詳しくても、相続紛争には詳しくないため、相続人の一部が一方的に得をする分割方法を提案してトラブルになるケースが散見されます。
可能であれば、弁護士と連携している税理士等、相続紛争にも対応しやすい専門家に相談することをおすすめします。
最後に、費用です。
税理士報酬は自由化されており、相続税申告についても、依頼する先で2倍以上金額が違うことがあります。
しかし報酬が高いからといって、その分精度が高いとは限りません。
費用についてもよく比較して税理士を選ぶことが重要です。
3 当法人にお気軽にご相談ください
当法人は弁護士と連携する体制を整えており、また、税理士は相続税申告を集中して取り扱っております。
費用体系についても明示しておりますので、お見積り、無料相談等につきまして、お気軽にお問い合わせください。