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住宅ローンが残っている場合の相続税
1 住宅ローンが残っている場合の相続税
相続が発生すると、相続人はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎます。
相続税は、一定の生前贈与を含むプラスの財産からマイナスの財産を控除した残額が、基礎控除額を超える場合に課税されます。
本稿では、住宅ローンが残っている場合、相続税にどのような影響を与えるのかについて説明します。
2 団体信用生命保険に加入していた場合
住宅を購入する際、多くの場合は団体信用生命保険(団信)に加入することになります。
亡くなった方が団信に加入していた場合、住宅ローンの残高に相当する保険金が、借入先の金融機関に直接支払われて返済が完了し、住宅ローンが消滅します。
この場合は、住宅ローンはなくなるのですから、債務控除の対象にはなりません。
また、団信の保険金は直接金融機関に支払われるため、相続税の課税対象にはなりません。
3 団信以外の生命保険に加入していた場合
亡くなった方が団信には加入しておらず、団信以外の生命保険金に加入していた場合、その生命保険金で住宅ローンを返済することもあります。
そのような場合、住宅ローンはマイナスの財産として債務控除の対象となります。
また、生命保険金は課税対象になります。ただし、生命保険金は500万円×(法定相続人の人数)の金額までは非課税となります。
4 団信にも他の生命保険にも加入していなかった場合
亡くなった方が団信にも他の生命保険にも加入しておらず、住宅ローンを相続人が引き続き返済していく場合には、相続税の計算上、住宅ローンは債務として控除されることになります。
このように、団信にも他の生命保険にも加入していない場合、住宅ローンが残ってしまうのですが、住宅ローンが債務として控除されることで、相続税の負担が少なくて済むことで、メリットとなる場合もあります。
5 残った住宅ローンを支払うことが難しい場合
残った住宅ローンを返済することが難しい場合、相続放棄も選択肢の1つとなります。
相続放棄をすれば、住宅ローンを返済しなくてもよくなることに加えて、相続税も負担せずに済みます。
一方、すべての財産を相続しないこととなるため、住宅ローンのようなマイナスの財産だけでなく、プラスの財産も相続できなくなる点には注意が必要です。
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