お役立ち情報
生前贈与で失敗したケース
1 名義預金として相続税が課せられるケース
相続税対策として、子や孫に対し、生前贈与をすることはよくみられます。
しかし、子や孫への贈与が、税務署から名義預金とみなされてしまうと、相続税が課税されてしまうことになります。
たとえば、Aさんが子や孫に対し、贈与税の非課税枠を利用して、子や孫の名義の口座に入金していたような場合です。
子や孫が知らない間にAさんが子や孫の口座を管理して資金移動していただけだと、贈与が成立していないとみなされ、名義預金として相続時に相続税の課税対象財産として計上しなければならなくなります。
名義預金とみなされるのを防ぐには、Aさんが子や孫に対し財産をあげるという意思と、子や孫が財産をもらうという認識があったことを明確にするために、贈与契約書を作成しておくのがよいでしょう。
また、贈与があったといえるためには、贈与を受けた子や孫が、自身で通帳や印鑑を管理しているかどうかも重要です。
2 一括の贈与とみなされて贈与税が課せられるケース
たとえば毎年同じ時期に100万円ずつ10年にわたって生前贈与をしていた場合には、最初から1000万円を贈与するつもりであったと税務署が判断するケースがあります。
そうなると、年間110万円の基礎控除以下の贈与ではなく、1000万円の一括の贈与であるとして、贈与税が課せられる可能性があります。
3 相続発生前の贈与について申告を忘れたケース
相続発生前3年以内(令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産については、段階的に7年に延長されます)の贈与については、原則として相続税の課税対象となります。
この相続発生前の贈与を忘れて申告・納税すると、財産を少なく申告したことになってしまうので、注意が必要です。
4 相続時の不動産や有価証券の価値が贈与時よりも下落していたケース
相続時精算課税制度を選択した場合、贈与財産の価額は相続時の相続財産に加算されます。
このとき、贈与時の価額で評価されるため、将来的に価額が上昇する財産については相続税が抑えられるメリットがあるといえ、利用される方もいます。
しかし、相続発生時の価額が贈与時よりも下落してしまうと、かえって相続税が割高になってしまいます。
相続時精算課税制度を利用する場合には、このような可能性も念頭においておく必要があります。